朝型・夜型と、サッカーに大切な空間認知機能について~(日本睡眠学会第46回定期学術集会一般演題より)
カテゴリー: お知らせブログ睡眠
2021/10/02
みなさんこんにちは!アスリートやプロスポーツ選手を目指す学生中心に睡眠指導および睡眠管理をしておりますOfficeS4S代表の松本光浩と申します。最近では事業拡大からの法人化を目標として、スポーツだけでなくさまざまな睡眠に関連する課題への取り組みを行なっています。
今回も日本睡眠学会定期学術集会の一般演題より、面白い内容を投稿します。
こちらは、ちょうど1年前くらいに初めてお会いさせていただきました、早稲田大学睡眠研究所の西多先生の発表で、Mental Rotation Performanceのクロノタイプ別における日内変動という演題です。
Mental Rotation Task(以下:MRT)とは、空間認知機能を評価する心理課題の一つで、俯瞰的視点も評価できると知られている課題です。
この俯瞰的視点はサッカーにとても大切ですよね。俯瞰力という言葉もあり、ピッチを上から見下ろしてみているように、俯瞰的に見ることのできる力のことを意味します。
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もちろんサッカー以外のスポーツにも、この俯瞰的に見る力は大切ですが、西多先生もサッカーには大切とおっしゃっていましたし、僕自身がサッカーをしてきたこともありますので、「サッカーに大切!」と今回は表現させていただきます。
この空間認知機能は注意や覚醒度の影響を受けます。眠ければこの機能は低下するということですね。
もうひとつ、「クロノタイプ」というものがあり、朝型・夜型など、自分が覚醒度の高い時間のタイプの事を示し、朝型は朝にパフォーマンスを発揮することができ、夜型は夜にパフォーマンスが発揮できるというものです。
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クロノタイプを評価する方法は、朝型夜型質問紙などが挙げられます。この研究ではまずはクロノタイプを明らかにした後に、朝型・夜型に分け朝の8時と夜の8時の2回に分けて、それぞれ課題を行なった研究です。
この課題(空間認知機能を評価する課題)を、正答数と反応速度の観点から、クロノタイプごとに考察しています。
結果を事細かに書いていこうと思ったのですが(厳密には一度書いたのですが)、少しわかりづらかったので、簡単に書いて考察と自分の感想を述べたいと思います。(笑)
■正当数
朝と夜に有意差はなかった。
朝に行なう試験は夜型の結果が悪かった。
夜に行なう試験は両方結果が良かった。
■反応速度
クロノタイプ別ではっきりと出ている
朝型は朝早く、夜型は夜に反応速度は速かった。
■考察
MRTはクロノタイプの影響を受け、日中に変化する可能性がある。
夜のパフォーマンス上昇は夜型の方が大きい。
=夜型の方がMRTにおいてクロノタイプの影響を受けやすいことを示唆している。
■まとめ
俯瞰力・空間認知機能を使うサッカーをはじめとするスポーツは、クロノタイプを考慮する必要性がある。
という感じです!
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実は僕がはじめて感銘を受けたスリープコーチの本📚があるのですが
そこではサッカーのPK戦をたとえに出してクロノタイプについて説明していました。
簡単に説明すると、ナイターゲームのPK戦のキッカーを選ぶシーン。普段真面目に練習に取り組んでいて、人間性も信頼できるが、今日のゲームはあまり調子がよくない選手、一方は普段から真面目な態度は見えず、あまり信頼することはできないが、このゲームは調子が良い選手。
このどちらにPKを蹴らせるかという例で、前者を選んだ監督のチームは負けてしまったというようなオチです。
つまり前者は朝型で、午前中にパフォーマンスを最大限に発揮でき、後者は夜型で、普段こそいまいちなものの、夜にはパフォーマンスが最大限に発揮できるということです。
ちなみにその本です。もう買ってから5年以上経ちますが、いまだに読むことがあります。
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朝型夜型は遺伝子的要因と環境的要因によって決まります。
朝型と夜型を考慮して適した時間にパフォーマンスを最大限に発揮できることがわかったいても、意外とこれって現場に応用するのが難しい気がします。
サッカーは割と、Jリーグまでいけばナイトゲームも出てきて、それによって選手をチョイスしたり、上手くクロノタイプを活かしてローテーションするなんてのは良いんじゃないかなと思いますが、それだけを考慮してメンバーを組むって監督からすると、そんな簡単な話ではないですよね。
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でも、頭に入れておく分にはいいんじゃないかなと思います。
一度朝型夜型質問紙を実施してみて、選手のクロノタイプを把握することで
それを采配に応用することはなくても、パフォーマンスや評価の指標にはなるのではないかと思います!
このあたりの研究って面白いですね!本当はもっと細かく勉強して伝えたいのですが長すぎるのでここまでにします!
いつか投稿頻度など気にせず長々とみていただけることがあればこのあたりを深堀したいと思います!
OfficeS4S 代表
睡眠指導者 松本